第2章 荼毘
「あー俺、甘いモンはキライなんだ。」
「じゃあ俺らで食っちまおうぜトガちゃん!太るぜ!痩せろよ!」
「やったぁ〜!食べましょ、仁くん!荼毘くんって意外とモテるんですねッ!」
「黙れイカれ女」
アジトに入ってすぐに聞こえてきた会話に頭が真っ白になった。
荼毘、甘いもの苦手なんだ...。
それにテーブルの上に平らげてある可愛くラッピングされた包装たち。きっとあれは全部荼毘が貰ったやつで。一般人か、私たちと同じヴィランなのか。どちらでもいいけど胸がチクリとした。
やだな。片思いの相手の好物も事前に調べないでこんなもの作っちゃって。自分が惨めになり、紙袋を持っていた手に自然と力が入ってしまう。
「あ!ちゃんもこっち来て一緒に食べましょー!荼毘くんがチョコレートくれましたッ」
ドアの前で呆然と立ち尽くしているとトガちゃんに声を掛けられて現実に引き戻された。
荼毘が座ってたソファが空いてたので隣に腰掛けた。
目の前ではトゥワイスとトガちゃんがひたすらチョコを食べ続けている。
「あれ?ちゃん食べないんですかぁ?」
「コイツは食わねェよ。」
『え...』
トガちゃんの質問に、まさかの荼毘が答えたのでびっくりして隣に座る荼毘をみた。
「だってそうだろ。好きな男が他の女から貰ってきたチョコなんか死んでも食いたくねェだろ。
なァ?」
『っ...!』
ニヤニヤと笑いながら言う荼毘。図星をつかれてぐうの音も出ない。しかも荼毘本人にだ。
「あれぇ?じゃあ荼毘くんもちゃんの事が大好きなので2人は両思いですねッ」
「ハ....」
『え』
淡々とそう言い再びチョコを貪るトガちゃんと、呆れたように笑う荼毘。そして唖然とする私。