第1章 死柄木弔
すぐにそれは角度を変えて深いキスになり、私の唇のわずかな隙間から弔くんの熱い舌が割り込んできた。
『ん....ぁ....っと、むらくん......』
「...いいか、お前ら。コイツは俺のだ。の手作り菓子貰ったからって浮かれんなよ。」
「1番浮かれてんのはリーダーだったりしてなァ」
弔くんの顔が離れたかと思うと、後ろから私を包み込むようにして他のメンバーを指差し牽制する弔くんと、クツクツ笑いながら揶揄う荼毘。
「はいはい、ごちそーさんね。この先はお2人だけで楽しみなさいよ」
な?とコンプレスが言うと、コンプレスを真ん中に私と弔くんは肩を組まれて弔くんの部屋に追い出された。
「なぁ、これ食っていいの?」
『うん!食べて食べて!』
ミスターに押されて弔くんの部屋で2人きりになった私たち。
2人でベットの淵に腰をかけ、私があげた小包を開けて箱から手作りのお菓子を取り出した弔くん。初めて見たのか怪訝な表情で私を見た。
「これなに?」
『マカロンっていうの。あ...あのね、私も初めて作ったからあんまり自信ないんだけど......』
「ふーん」
親指と人差し指でマカロンを掴み口の中に入れると頬が動いた後に、弔くんの綺麗な喉の筋がゆっくりと上から下に動くのをジッと見た。
自然と私もコクリと喉を鳴らしてしまう。
『ど、どうかな.....』
「ん、うまい。甘くて美味いなコレ。サンキューな、。」
『へ.....よかったぁ...!』
赤い目を細めて笑うと、大きな手が私の頭を撫でた。大好きな弔くんにそう言ってもらえて私も嬉しくなってしまう。
「ありがとな。来年もまたコレがいい。」
『もちろん、また来年も弔くんのために作るね?』
「好き、」
『私も大好き、弔くん』
どちらからともなく唇を重ねた。
私たちはヴィランだけど来年も、再来年もその先もずっと作れたらいいななんて淡い思いを抱いた。2人分沈んだベットの軋む音を聞きながら、弔くんの首に腕を回し押し倒される力にその身を委ねた。