第1章 死柄木弔
「おい、お前らそれは没収だ。今すぐ俺に寄越せ」
『弔くん?』
弔くんがソレ、と指差しているのは私が今みんなにあげた小包。弔くんの言葉にはてなを浮かべているとアジトにはやいのやいのとブーイングが飛び交う。
「やなこった!死柄木も貰ってんじゃねぇか!くれてやるぜこんなモン!」
「ヤ!これはトガがちゃんから貰ったんですッ」
私があげたクッキーの入った小包を大事そうに抱えて姿勢を低くして、背中の毛を逆立てた子猫のように威嚇するトガちゃん。
「ハハ、もしかしてうちのボス、いま嫉妬しちゃってる感じ?」
指をパチンと鳴らし自分の隣に腰掛けている荼毘に振るコンプレス。
弔くんが嫉妬?そんなわけが、と私は心の中で漏らした。
「みてェだな、笑えるわ。.........ハ、うま。」
笑える、という言葉の意味を知ってるのかと聞きたくなるくらいの無表情で言う荼毘。私があげたクッキーを誰よりも早く口に放り込んだ。
「死柄木弔、義理ですよ。落ち着いて。」
「......、さっきバレンタインは好きなやつにあげるって言ってた。.........の好きなヤツは俺じゃないのか?」
後ろからギュッと抱きしめられ、私の首に顔を埋める弔くん。不貞腐れた子供のようにポツリと言う弔くんにドクンと心臓が大きく鼓動した。
あれ、もしかして本当に嫉妬してる?
......だとしたら、どうしよう。可愛すぎて。
にやけそうになる口をなんとかギュッと結んだ。
『...弔くん、ヤキモチ妬いてくれてるの?』
私の首元に顔を埋める弔くんに恐る恐る聞いた。
「ん......」
今にも消えそうな声で頷く弔くんに、我慢してた口元がつい緩んだ。
『......ッ、ふふッ』
「んで、笑うんだよ...」
『へへ、ごめんね弔くん。私が好きなのは弔くんだけだよ......っ!?』
弔くんの方に首を向けて言うとそのまま唇を塞がれた。
他のメンバーも見てるのに......!