第1章 死柄木弔
カランコロンと小気味良いベルを鳴らしてバーの木製のドアを開けた。カウンターでゲーム機に夢中になっていた大好きな彼を見つけて彼の元へ寄る。
『弔くん、良かったらこれ食べて?』
「あ?んだこれ。」
持っていたゲーム機をカウンターに置くと、手渡した小包を訝しげに見つめる弔くん。
弔くんとは、私がこのヴィラン連合に入ってすぐに、俺の女になれ、と言われほぼ強制的に付き合うことになった。
初めの頃は、強引だしなんだこの男と思っていた私なんだけどいつのまにか弔くんに絆されていていたし、なんだかんだ優しくて今では大好きな私の彼氏。
『今日はバレンタイン!好きな人にお菓子をあげる日だよー!』
ソファーでわちゃわちゃしてる他のメンバーを見つけると早くみんなにも渡したくて、弔くんにそれだけ言い離れた。
『トガちゃん、クッキー焼いたの!良かったら食べて?』
「わぁ〜!!ちゃんからバレンタイン貰っちゃいました〜!トガもカアイイちゃん大好きなのですッ!」
いつもありがとうね、と付け加え作ったクッキーを渡すとギュッと抱きついてきたトガちゃん。
トガちゃん以外のメンバー達にも、義理だけどよかったら、と言い回りながら手渡ししていった。
「ちゃんサンキュ!オレ甘いのちょー好きだぜ!いや嫌いだね!」
「お、ちゃんサンキュ。おじさんまで貰えるなんて嬉しいねえ」
「オレ、生まれて初めてもらった......」
「あらぁ、アタシにもくれるの?嬉しいわ!ありがとうちゃん。」
「ハ...甘いモンは苦手なんだが貰っとくわ」
「、ありがたく頂きます。」
みんなに喜んでもらえた事が嬉しくて、つい私も笑みが溢れた。荼毘もなんだかんだ言うが、受け取ってくれたからよしとする。
突然どん、と大きな音が響いた。カウンターでゲームをしていた弔くんが突然立ち上がり私たちの方へ寄ってきた。