第3章 爆豪勝己
『ッ爆豪くん手痛いよ、離して...ッ』
しばらく道を進んだところで爆豪くんに声をかけた。
「......わり.....それ...オレに作ってくれたンか」
もうさっき切島くんが話してしまったし今更隠せない。
首を縦に何度も振ったあとに口を開いた。
『ッ......、そうだよ...爆豪くんにッ、食べてほしくて...。恥ずかしいから、切島くんに....っ頼んだけど....自分で渡したッ方が良いって......。でも爆豪くんが......ッ...いらないって言ってるの聞いちゃったからぁ......ッ...わたし、ッ...ずっと爆豪くんのことッ──』
涙とともに打ち明けた今日の出来事。勢いで伝えようとした爆豪くんへの気持ちは声に出る事はなく、代わりに自分の息を飲んだ。
なぜなら気づいたら爆豪くんの胸の中にいたから。
「.........初めて電車ン中で会ったあの日からずっとテメェが好きだった......好きだ、」
初めて会った電車の中、という言葉
そしてなによりも、私の名前に爆豪くんの気持ちを添えてくれた事が嬉しくて。
またもや溢れる涙。
『...入学式の日のことッ....覚えててくれてたの......?』
「......一目惚れした女が目の前で痴漢に遭ったんだ、イヤでも覚えとるわ」
一目惚れ、という言葉に顔に熱が集まる。
あぁ、私こんなに幸せでいいのかな。
「んで、テメェはどうなんだよ....」
低い声でポツリと言い、私の肩に頭をコテン、と乗せた爆豪くん。そんな彼に心臓がドクンと大きく鼓動した。
そうだ。私も言わなきゃ、爆豪くんと同じ気持ちを添えて。今度こそ。
『私も大好きだよ、爆豪くん。』
そうかよ、と私から顔を背けて言った彼の耳がさっきよりも赤くなってるのはきっと気のせいじゃない。