第3章 爆豪勝己
......そうだよね、爆豪くんのお友達にこんな事させて、困らせて何してんだろ私。震えそうになる唇をギュッと結ぶと再び彼が口を開いた。
「あ、いや......なんつーか。そーゆーのは俺からよりもちゃんからの方がぜってぇ爆豪も喜ぶっつーか......。とにかく!ダチの俺が言うんだから、間違いねぇ!」
何を根拠に......と言いたくもなったが、目の前の彼が白い歯を見せニカっと笑う顔を見て少し勇気が湧いて自然と私も笑みが溢れた。
『うん、そうだよね。私が作ったんだもん。私があげなきゃ。私頑張る!』
不思議。こうやって声に出すと俄然勇気が出てくる。そして、爆豪くんの周りのお友達はこの人みたいに素敵な人ばかりなんだろうななんて考えた。
『おうおう!オレ、応援してっから!』
「ありがとう。それより私の名前、」
何で知ってるの?と声に出そうとしたところでそれは聞こえてきた。
「ッるせぇ!!いらねっつってんだろーが!!このモブどもが!!」
怒鳴り声を上げる爆豪くんの声。
別に彼のそういう粗暴な態度を初めて見たわけじゃない。よく緑色の髪の男の子にも、一方的に暴言を吐いてるのだって何度も見てきた。
でも爆豪くんが、入学式の日に痴漢から助けてくれた。そういう優しい一面があるって事も私は知っている。
けれど私が今震えているのは。
いらない──
爆豪くんのその言葉を聞いてしまったから。紙袋を持っていた手にギュッと力が入る。
「え〜」
「じゃあ、来年はもらってよ〜」
爆豪くんの周りにいた女の子たちは、笑いながらそんな事を言いその場去って行った。
「あ、いや多分今のはそういうんじゃ......」
焦った表情を見せる目の前の彼。
『ううん、いいの。』
「あ、オイ待てよ!ちゃん!!」
地面を蹴って一目散にその場から走り出し赤い髪の男の子声を背中で聞いた。