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【ヒロアカ】バレンタイン短編集

第3章 爆豪勝己



どうしたものかと頭を悩ませてると教室から出てきたのは爆豪くん。彼が出てきた途端、ドアの前で待っていた女の子たちに一瞬で囲まれてしまった。

あ、あの子たちも爆豪くんにバレンタイン渡しに来たんだ......。

声までは聞こえないけど、嬉しそうな女の子たちの顔を見て、私とは違って勇気ある彼女たちを羨ましく思う気持ちと同時に、沢山の女の子に囲まれた爆豪くんを見てチクリと胸が痛んだ。

『はは......そうだよね』

乾いた自分の笑い声を聞いた。爆豪くんカッコいいもん。そりゃあモテるよね。私みたいにウジウジしてる人よりも、ああいうキラキラしてる女の子の方が爆豪くんも好きだよね。

この場にいるのも、こうやってすぐ卑屈になる自分も嫌になってその場から立ち去ろうとすると手前の教室のドアから知っている姿が現れた。

知っている、と言っても爆豪くんとよく一緒にいるところを見ただけであって実際には名前も知らない、喋った事もない赤いツンツン頭の彼。

「おい、爆豪!俺ら先に外出て......ってあれ、ちゃん.....?」

奥のドア前にいた爆豪くんにほとんど叫ぶように言った赤い髪の男の子は、私に気づくなりすぐにこちらを向いた。

当然呼ばれた爆豪くんもこちらを見た。一瞬目が合ったかもなんて、こんな時でも浮かれそうになる自分がいて嫌になっちゃう。

というか何でこの人私の名前知ってるんだろ、という疑問を抱きながら目の前の赤い髪の男の子を見た。

そうだ、もうこの際この人に渡してもらおう。爆豪くんと仲良いみたいだし。ちょっとずるい気もするけど......

『あの......これ...』

「......え!?オレに?あ、いや、オレは.....」

『これ、爆豪くんに渡してほしいんです......。いつも爆豪くんと一緒にいるの見てたから、仲良いのかなって...』

「あぁ、そゆことね──」

私がそういうと、焦ったり、どこかホッとしたりコロコロと表情が変わる目の前の彼を不思議に思うも、持っていた紙袋を彼の目の前に出した。

「でも悪ぃ、それはちゃんが直接爆豪に渡すべきだ!」

小さな声で囁くように言い、困ったように笑いながら自分の顔の前で手を合わせる赤い髪の毛の彼。
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