第9章 月夜の華炎①【セイヤ】
『──…セイヤ…』
「…………ダメだ────
──────行かせない」
ガシャーーーーン!!!!
だがその時全面ガラス張りの壁が盛大に割れる音がモール内に響き渡り、大勢の人々の劈く様な悲鳴が各所からあがりはじめる。すると奥側から順番にその透明の破片が四方へと飛び散っていく様がまざまざと2人の目前に飛び込んできた。
『!!!
……セイヤ…っ⁈‼︎』
「────…ああ!」
瞬時に騒然となったモールの中で周囲の人々が散り散りにその場から逃げ始めていく。2人も必然とその波に飲まれそうになり 繋いだその手を咄嗟にセイヤが自身へと引き寄せた。元から混雑していたせいもあり 途端にその場は大混乱に陥ってしまう。
「「「キャァァァァ────ッ!!!!」」」
その瞬間 アリスとセイヤは互いに手を取り合いハッとして目を見合わせていた。そして彼等の日常の習慣に従い 屋外から感じる異常な磁場の乱れに向かって 迷いなく駆け出してゆく。
セイヤの手に眩く光る剣が燦然と現れ、アリスもホルダーに装着されている銃に淀みなく手を掛けていた───
その時 開けた暗がりの空には沈みかけた日光に変わるように 青白い半円の月が漸く顔を覗かせていた。
……────……
to Be Continued