第9章 月夜の華炎①【セイヤ】
────初夏の風吹く或る日。
アリスはモモコとセイヤを含むハンターの同僚達と共にまっ昼間から盛大な "場所取り合戦" に勤しんでいた。
今日は臨空市、花火大会の日。ハンター協会は新人を迎え研修もひと段落するこの時期、親睦会を行う。毎年趣向を凝らすというその集まりだが、今年はアンケートによる多数決で、会場はこの一大イベントに決定していた。
しかし新人を歓迎する為の会のはずが、何故か歓迎されるはずの彼等がこうして今場所取り要員として駆り出されている。そんなむせる様な草の匂いとうだるような湿気の中、 モモコ以外の新人は皆 不満気な表情を隠せないでいた。