第6章 煩悶の渦中へ①【レイ】R18
どれだけ時が経ったのか、互いが分からなくなるほどに長く、2人は唇を合わせていた。だが その時には既にアリスだけでなく、レイ自身もまた 抗えない情欲の色を瞳に宿していた。
レイは彼女に背を向け 扉に鍵を掛ける。
「アリス────…
言っておくが私は、お前を子供だなどと思った事は一度もない」
『レ、イ……?』
「他の誰かに頼られるぐらいなら
分かった。私が責任を持って お前を治療しよう
前言を撤回し
────…要望を、聞き届ける事にする」
レイは言うなり 白衣を脱ぎ捨て アリスをゆっくりとソファに押し倒した。
アリスの身体に溺れる様に、レイは窓に当たるこの激しい雨音が───…2人のこの睦事の証を全て 掻き消してしまえばいいのに と思った。
(私にしか頼めない
──…そう言ったお前の言葉の裏には
少なからぬお前の
私への好意が秘められていると
…そう捉えさせてもらおう
だがじっくり時間を掛け、いつか必ず手に入れる
───…お前の本当の心も……)
だがその選択肢が彼にとって
あまねく煩悶の渦中へと自身を追い詰めていく事になろうとは、この時の彼には未だ予想出来ていなかった。
To be continued