• テキストサイズ

深空の幻【恋と深空】

第3章 運命の恋人【セイヤ】







「しかし…」
『いいからセイヤ、こっちへ来て』



アリスがセイヤを手招くと、彼はため息を付き 彼女のそばにある椅子へと浅く腰掛けた。


どちらからとなくいつしか互いの手に触れ合った2人は、無意識に見つめ合っている。


その目には明らかに友情以上のものが色付いていた。



「アリー───…
あんたが無事でいてくれて良かった」
『うん。
私も、あなたがあの場に来てくれて嬉しかった
ありがとう、セイヤ』



触れた指がそっと絡み合う。


2人はやっと解けた緊張感の中、そうして微笑み合ったのだった。


訪れた沈黙をきっかけに
セイヤがふと顔を傾げ 彼女へと唇を寄せる。


アリスは少し驚いたが
意を決しそれを受け入れようと
軽く瞳を閉じた、その時だった。




「──────ごほんっ」




明らかにわざとらしいレイの咳払いが聞こえ、2人は慌てて距離をとる。


差し込む夕陽が薄っすらと、2人の顔を紅く染め上げていた。


過去を巡る様に
────2人はまた恋に落ちようとしている。




fin.
/ 94ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp