第3章 運命の恋人【セイヤ】
その時、アリスは禁猟区内で疲弊した身体を引きずっていた。
(────今回は、
流石に下手打っちゃったな…)
緊急の為と言え、独断でワンダラーの単独討伐を図った結果がこれだ。だが待てど暮らせど応援のハンターは現れず、今回は仕方ない処置であったと彼女はこの数時間を回顧していた。討伐レベルもアリスにとっては対応内であったし、問題はなかったはずだ。だが討伐に成功はしたものの、evolの使い過ぎなのか、はたまたこのところの睡眠不足が祟ったのか───アリスの体力は急速に消耗してしてしまっていた。
最早立っているのもやっとという状態───…と、いつしか虚ろなアリスの視界のはじに、見慣れた銀髪が映り込んだ気がした。
『え………セイ、ヤ?』
それをまさかと思った刹那、
安堵からなのか彼女はその場に崩れ落ちてしまう。
「────アリスっ!!!!」
だがハッキリとアリスの耳に飛び込んで来た、悲痛な叫び。ボヤけた視界で見えた、セイヤの顔。その記憶を境に、彼女の意識は虚なモヤの中に沈み込んでいった。
最後に見たセイヤの声と表情が、アリスの脳裏に焼き付いて離れない。
(ああ、私はまた───あなたにそんな顔をさせてしまった)
だが何故自分がこんなことを思うのか
────…アリスにはよく分からなかった。