第16章 闇の印【炎のゴブレット】
「賭けをしたなんて母さんに絶対言うんじゃないよ」
階段を降りている時、アーサーおじさんがフレッドとジョージにそう言い聞かせていた。
「パパ、心配ご無用。このお金にはビックな計画がかかってる。取り上げられたくはないさ」
そのビックな計画とは何だろうか。
私はそう思ったが、聞かない方がいいかもしれないと思って口を閉ざした。
スタジアムから出て、キャンプ場へと向かう。
その道中、優勝したことに喜ぶサポーターや負けたことに悔しがるサポーターが沢山いた。
そしてやっとテントに辿り着いたが、周りがうるさくて寝れるところじゃなかった。
その為、アーサーおじさんが眠る前にココアを飲むことを許してくれた。
「それにしても、初めてクィディッチのワールドカップを見たけれど凄かったわ」
「ホグワーツで見るのとまた違って面白かったわ」
私とハーマイオニーは試合の感想を言い合い、ココアを飲み進めていた。
その時、ジニーが勢いよくテーブルに突っ伏して眠り始めてしまった。
「ジニー、ここで寝たら体を痛めるわよ」
「アーサーおじさん、ジニーがもう限界だわ」
アーサーおじさんはチャーリーと反則技について議論していたが、私の言葉でそれを止めた。
「そうか。じゃあ、全員もう寝なさい」
「じゃあ私たちは隣のテントに行くわ。おやすみなさい」
「ジニー、テントに移動するわよ。ハリー達、おやすみなさい」
「おやすみ」
挨拶を交わしてから、私たちは隣のテントに向かう。
そしてジニーをベッドに寝かせて、私は2段ベッドの上へと登って体を横にした。
テントの外からは歌声や爆発したような音が聞こえてきた。
最初は眠れそうにないかなと思っていたけれど、すぐに疲れのせいか睡魔が押し寄せてきた。
(シリウスに手紙書こう……。クィディッチのワールドカップの話を書いて……)
そう思いながら、私は眠りについた。
「起きなさい、アリアネ!ジニー、ハーマイオニー!」
「……へっ?」
眠り着いて数分も経たないと思うぐらいの時だ。
突然のアーサーおじさんの声で、私達は起こされてしまった。
「なに、アーサーおじさん……」
「時間がない。上着だけ持って外に出なさい、
早く!」
「え?え?」
何事かと思いながらも、急いで飛び起きるとハーマイオニーとジニーも目を丸くさせながら飛び起きていた。