第15章 ワールドカップ【炎のゴブレット】
バクマンが叫ぶと、敗者のブルガリア選手の7人が階段を上がってボックス席へと入ってきた。
スタンドの観衆は彼らへと拍手を送っていて、私も拍手をする。
ブルガリアの選手はボックス席の座席の間に1列に並んで、バクマンが選手の名前を呼びあげると、1人ずつブルガリアの魔法大臣の握手を交わしていた。
そして次にファッジとも握手をしていた。
「あ、クラムだわ……」
私は小声でハーマイオニーに囁いた。
「顔、凄く痛そう……」
列の最後にはクラムがいて、ボロボロだった。
顔は血まみれであり、両目の周りには黒いアザが広がっている。
そして手にはスニッチを握っていて、バクマンがクラムの名を呼びあげた。
すると鼓膜が破れんばかりの大歓声があがる。
そして次はアイルランドのチームが入ってきた。
リンチとモランとコノリーに支えられていて、2度目の激突で目を回したようだ。
トロイとクィグリーが優勝杯を高々と掲げると、観客席から祝福の声が聞こえてきた。
そしてバクマンが杖を自分の喉に向けて『クワイエタス(静まれ)!』と唱えた。
「この試合は、これから何年も語り草だろうな。実に予想外の展開だった。実に……いや…もっと長い試合にならなかったのは残念だ……ああ、そうか……そう、君たちに借りが……いくらだったかな?」
フレッドとジョージが自分たちの座席の背を跨いで、バクマンの前に立つ。
そしてにっこりと笑いながら手を突き出すのであった。