第14章 秘密【アズカバンの囚人】
ーアリアネ・イリアス・フリートsideー
奇妙な群れだなと感じた。
クルックシャンクスが先頭になって、その後をリーマスとペティグリューとロンが横になって歩いている。
私はその後ろに着いて歩き、隣にはシリウスがいてセブを宙吊りにしていた。
そして後ろにはハリーとハーマイオニーが歩いている。
ちらりと横を見る。
夢の中のシリウスとは少し違うけれど、面影のある彼。
ついさっきまで彼に憎しみを抱いていたのが嘘のようだ。
「あの……シリウス」
「なんだい?アリアネ」
声をかければ、シリウスは柔らかい表情を浮かべた。
「私、あの時貴方を殴ってしまったでしょう?ごめんなさい……」
「ああ、あの時のか。いや、気にしなくていい……言っただろう?私が殺したのも当然なんだ。君に殴られる理由があった」
「そんなことないわ。貴方は、私とハリーの両親の仇を取ろうとしてくれた。そんな貴方を殴り飛ばすなんて……本当にごめんなさい」
私は歩きながらシリウスへと頭を下げた。
すると彼は『ふっ』と笑みを零してから、私の頭を緩く撫でる。
「気にしなくていい。喧嘩っ早いのはウィリアスに似たんだなと思ったよ。だが素直に謝れるのはヘレンに似ている」
「そう……?」
「ああ。君はご両親によく似ている」
「そんなに、似てるかしら?」
「ああ」
シリウスは何処か嬉しげに微笑んでいる。
その笑みは暖かくて、私の胸まで暖かくなる気がした。
するとシリウスは、わざとなのか、宙吊りにしているセブの頭をガンガンと天井にぶつけていた。
「あ、あのシリウス?セブ、天井にぶつかってるんだけど……」
「ん?ああ、そうだね。宙吊りにしているからぶつかるみたいだ」
わざとのように見える。
そう思いながら、私はセブの頭の事を心配しながら歩いた。
「ハリー。これがどういうことなのか、分かるかい?ペティグリューを引き渡すということが」
シリウスは後ろにいたハリーに声をかけた。
「貴方が自由の身になる」
「そうだ……。しかし、それだけではない。誰かに聞いたかも知れないが、私は君の名付け親でもあるんだよ」
「ええ、知っています」
「つまり……君の両親が、私を君の後見人に決めたのだ」
何処かシリウスの声が緊張しているように聞こえた。