第11章 忍びの地図【アズカバンの囚人】
「Ms.グレンジャーがたったいま、知らせてくれました。ポッター、フリート、貴方達に箒とピアスが送られてきたそうですね」
アリアネとハリーとロンは慌ててハーマイオニーの方へと振り返れば、彼女の額は真っ赤に染まっていた。
本は逆さまであり、動揺しているように見える。
「ちょっと、よろしいですか?」
マクゴナガルはファイアボルトを取ると、柄から尾の先まで丁寧に調べる。
そしてアリアネからピアスの入った箱を取り、それも丁寧に調べていく。
「フーム。それで、ポッターとフリート、なんのメモも付いていなかったのですね?カードは?何か伝言とか、そういうものは?」
「いいえ」
「何も無かったです」
「そうですか·····。さて、ポッター、フリート。これらは預からせてもらいますよ」
その言葉に2人は目を見開かせた。
「な、なんですって?どうして?」
「あの、何故それらを·····?」
「呪いがかけられているかどうか、調べる必要があります。もちろん、私は詳しくありませんが、マダム・ふーちやフリットウィック先生がこれらを分解して」
「分解?」
「ぶ、分解するんですか·····?」
アリアネとロンは目をさらに見開かせて、オウム返しのように呟く。
「数週間もかからないでしょう。何の呪いもかけられていないと判明すれば返します」
「この箒はどこも変じゃありません!先生、本当です」
「ポッター、それはわかりませんよ。飛んでみないとわならないでしょう?とにかく、この箒とピアスが変に弄られていないということがはっきりするまでは、こらで飛ぶことや身につけることなど論外です。今後の成り行きについてはちゃんと知らせます」
マクゴナガルはそれだけを伝えると、ファイアボルトとピアスを持って肖像画を抜けて行ってしまった。
するとロンはハーマイオニーに食ってかかった。
「いったいなんの恨みで、マクゴナガルに言いつけたんだ?」
その言葉にハーマイオニーは立ち上がると、当たり前のように言った。
「私に考えがあったからよ。マクゴナガル先生も私と同じご意見だった。その箒とピアスはたぶん、シリウス・ブラックからハリーとアリアネに送られたものだわ!」