第2章 授業と決闘【賢者の石】
ー翌朝ー
ロンと私とハリーは寮を出た瞬間、好奇心や色んな感情が籠った瞳を向けられていた。
「見て、見て」
「どこ?」
「赤毛ののっぽの隣」
「メガネかけてるやつと、赤いピアスしてる子?」
「顔見た?」
「あの傷見た?」
あまりにも嫌な視線に私は顔を顰める。
私とハリーは見世物じゃないのに、と思いながら歩く度にじろじろと見られていた。
鬱陶しい視線を気にしないようにしても、わざわざ通り過ぎたのに戻ってきて見てくる人までいる。
「ジロジロ見られて、気分が良いものじゃないわね」
「本当だね。それより、教室探すのに精一杯だよ」
「本当だよ。地図でもあればいいのに」
ホグワーツは広すぎる。
それに階段が凄くて、迷子になってしまうじゃないかと思ってしまった。
実際に迷子になっている気がする。
広い壮大な階段、狭いガタガタしている階段等色んな系142種類の階段があった。
しかも扉も沢山あって、肖像画の中の人物はよく動いているから目印にもならない。
「なんだよ、この学校。迷路か何か!?」
「肖像画も目印にならないわ·····」
「迷子になりそう、いや·····もう僕たち迷子になってる気がしてきたよ」
あらゆる授業に遅れそうになっていた。
ゴーストとも何回か鉢合わせして、首無しニックは道を聞けばいつも喜んで教えてくれる。
でも問題なのなピーブズだった。
「ピーブズ!貴方、いい加減にしなさい!!」
ピーブズとでくわしたら、二回も鍵のかかった扉にぶつかったり、仕掛け階段を通るはめになったり。
しかもゴミ箱を頭の上にぶちまけたりと散々である。
「次こそは許さないわ!窓の外から放り投げてやる!」
「落ち着いてアリアネ!!」
「アリアネ、スカート!スカートだから足をあげたらダメだよ!!」
ついにピーブズに対して堪忍袋の緒が切れた私は、目の前にいるピーブズを蹴りあげようとした。
だけど、慌てたハリーとロンに後ろから羽交い締めにされるように止められる。
「1回殴らないと、学習しないわ!蹴って窓から放り投げてやる!」
「女の子なんだから!足あげちゃ駄目だって!!」
「アリアネ、落ち着いて!!」
ギャーギャーと騒ぎながらも、ピーブズを追っ払う。
だけど次に面倒臭いのがゴーストでもピーブズでもなく、生身の人間である。
管理人のアーガス・フィルチであった。