第10章 名付け親【アズカバンの囚人】
ーアリアネ・イリアス・フリートsideー
今回の夏休み、私はウィーズリー家の皆とエジプトに行ったりとした。
アーサーおじさんが『日刊預言者新聞・ガリオンくじグランプリ』を当てたから。
久しぶりにビルに会えたりとして楽しかったのだけれど……。
「やっぱりハリーをウィーズリー家に連れてくるべきだったのよ!!」
「まぁた怒ってる。仕方ないだろう、そんな事を言っても。まさか、ダーズリーの家に電話したら『ハリーなんていない』とか言うなんて……」
「あの家は最低だわ!またハリーを監禁したりしたら、次こそあの鼻に拳をめり込ませてやる!」
ロンがダーズリーの家に電話した際に、あの叔父はロンに『ハリー・ポッターなんていない!』と言ったのだ。
私がかけ直したら同じことを言われて、挙句の果てに罵倒された。
やっぱりあの家は最低だ。
そう思いながら、私はハリーへプレゼントとして買った糖蜜パイを包装していた。
「ジーク!ジーク、おいで!」
ジークを呼べば、直ぐに彼は私の肩に止まる。
「これをハリーに届けてちょうだい。あと手紙もね」
「ついでに僕のも届けてくれ」
「2人とも、早く寝なさい」
「「はあい」」
ジークにハリーへと荷物を届けさせた私は、ロンとともにベッドに潜り込んで眠りについた。
『シリウス、シリウス。また犬の姿になって』
『でもアリアネとハリーは喜んでるわ。犬が好きなのね、2人とも』
『リリー、アリアネがシリウスの耳を掴んでるから離してやってくれ』
『あらあら、お転婆なのは誰似なのかしら?ヘレンかしら?』
楽しい夢を見た。
大きな黒犬が私に頬ずりしていて、『シリウス』と呼ばれている。
私はその大きな犬の耳を掴んでいて、楽しいと思ったのを覚えていた。
翌朝、私は目が覚めてから着替えてからとある新聞を見つけた。
アーサーおじさんが投げたものだろう。
「ん?」
私は新聞を見てから固まった。
「シリウス・ブラック、いまだ逃亡中?」
そこには私の知っている名前が書かれていた。
夢で何度も耳にした名前であり、どういうことなのだろうと新聞を読もうとしたときである。
「アリアネ」
ふと、ビルに名前を呼ばれた。
振り返るれば、直ぐに私の手からは新聞が抜き取られる。
「あ!まだ読んでないのに!」
「ちょっと君には早すぎるさ」