第9章 トム・リドル【秘密の部屋】
いつの間にか、夏が訪れていた。
暑さが少しづつ増していて、じわりと汗が滲むようになってきている。
城の中はめちゃくちゃだった。
ダンブルドアがいなくなったせいもあり、そして私たちが困ったのは医務室である。
なんと、医務室は面会謝絶となったのだ。
「危ないことはもういっさいできません。せっかくだけど、だめです。患者の息の根を止めに、また襲ってくる可能性が十分あります……」
「そんな……!絶対にダメなのですか?」
「Ms.フリート。もしなにかあったら、私が直接伝えるかマクゴナガル先生に頼んで伝えます」
それだけを言うと、マダム・ポンフリーはピシャッと扉を閉めてしまった。
ダンブルドアが居なくなってから、城の中は恐怖心で包まれている。
外は太陽が眩しく光っているというのに、城の中はどんよりと暗い気がした。
そして私たちはハグリッドの言葉をヒントにして、クモを探した。
もっと色んな所を探したかったけれど、必ずグリフィンドール生と教師と行動しなきゃならないから、くまなくか探すことができない。
「うんざりだわ」
「僕も正直うんざりだよ。絶対にグリフィンドール生と一緒にいなきゃなんないし、教師といなきゃならない。本当にうんざりだよ」
「それもうんざりだけど、私がうんざりしているのはドラコ・マルフォイよ」
私の言葉に、ハリーとロンは頷いた。
マルフォイは何故か今の状況を楽しんでいたし、魔法薬の授業でうんざりするよりも、怒りを感じる言葉をいて言ったのだから。
「父上こそダンブルドアを追い出す人だろうと、僕はずっとそう思っていた。おまえたちに言って聞かせたろう。父上は、ダンブルドアがこの学校始まって以来最悪の校長だと思ってるって。たぶん今度はもっと適切な校長が来るだろう。『秘密の部屋』を閉じたりすることを望まない誰かが。マクゴナガルは長くは続かない。単なる穴埋めだから……」
今すぐ大鍋を投げつけたかった。
手に持っているさじを投げつけてもいいと思っていたが、横をセブが通ったからできない。
するとマルフォイがセブへと声をかけた。
「先生。先生が校長職に志願なさってはいかがですか?」
私はその言葉に目を見開かせた。
セブが校長になったら、どんなホグワーツになってしまうだろうと思いながら首を捻る。
するとセブは薄く笑ってマルフォイの言葉に返事をした。