第6章 ギルデロイ・ロックハート【秘密の部屋】
「さあ、それでは、君たちがピクシーをどう扱うかやってみましょう!」
ピクシーの籠をあけた途端、大騒ぎだった。
自由になったピクシーは飛び回っては、窓ガラスを割ったり写真を引き裂いたり本を投げたり、本を引き裂いたりインクを投げたりと大暴れ。
アリアネはため息を吐き出した。
なんとも面倒臭いものを放ってくれたと思いながら、自分の髪の毛を引っ張るピクシーを本で殴り飛ばす。
「平然とピクシーを本で殴り飛ばしたよ、アリアネが」
ロンは顔を顰めながら、投げ飛ばされたピクシーを少しだけ哀れに感じていた。
ネビルなんて、ピクシーに持ち上げられてシャンデリアにぶら下がっている。
「さあ、さあ。捕まえなさい。捕まえなさいよ。たかがピクシーでしょう……」
一向に捕まえない生徒たちを見たロックハートが、腕まくりをして杖を振り上げた。
「ペスキピクシペステルノミ!ピクシー虫よ去れ!」
何も起こらなかった。
ピクシーはロックハートの杖を取り上げて窓の外へと放り投げてしまう。
そしてネビルが吊るされていたシャンデリアが落ちてしまい、もう教室は大パニック。
その時だった。
授業の終わりを告げるベルが鳴り、一斉に皆は出口へと押しかける。
「私達も出ましょう。このままじゃ怪我しちゃう」
「そうだね、出よう」
「最悪な授業だったよ」
ハーマイオニー以外の3人は文句を言いながら出ようとしたが、ロックハートは4人を見かけて呼び止めた。
「さあ、その4人にお願いしよう。その辺に残ってるピクシーをつまんで、籠に戻しておきなさい」
まさかの言いつけにハーマイオニー以外の全員がげんなりとした。
ロンは『耳を疑うぜ』と言いながら、ピクシーに耳を噛まれながら捕まえる。
「私たちに体験学習をさせたかっただけよ」
「体験だって?」
「あれが体験学習なの?ただパニックが起きただけな気がするわ」
ハーマイオニーとアリアネは縛り術をかけながらピクシーを捕まえていた。
「ハーマイオニー、ロックハートなんて、自分のやっている事が自分で全然分かってなかったんだよ」
「違うわ。彼の本、読んだでしょ。彼って、あんに目の覚めるようなことをやってるじゃない……」
「ご本人はやったとおっしゃいますがね」
「本当にやっているのか怪しいわね」
全くだとロンとハリーは頷いた。