第5章 二つの顔をもつ男【賢者の石】
ヴォルデモートに殺されかけた。
セブに裏切られているかもしれない、その二つの事実に私は中々眠ることが出来なかった。
睡眠不足の中、試験がやってきた。
試験用のカンニング防止の魔法をかけられた羽根ペンが配られて試験は開始。
試験は筆記だけじゃない。
勿論実技もあって、フリットウィック先生の試験はパイナップルを机の端から端までタップダンスさせるかどうか。
マクゴナガル先生の試験はねずみを『嗅ぎたばこ入れ』に変えること。
美しい箱に変えれたら点数は高く、勿論私はちゃんと綺麗な箱に変えれた。
「アリアネ、どうだった?マクゴナガル先生の試験は」
「上手く綺麗に箱に出来たと思うわ。ハーマイオニーは?」
「私も上手く出来たと思うわ。それより……貴方、大丈夫なの?寝不足でしょう、最近。隈が酷いわ」
「大丈夫よ。試験が終わったらゆっくり少し、眠るから」
眠れたら良いんだけど。
そう思いながら、次の試験へと取り掛かる。
次はセブの試験であり、私は何とも言えない気分となっていた。
(まだ、セブが賢者の石をヴォルデモートの為に盗もうとしているとは決まってないわ。決まってないけれど……もし、事実だったら……)
そう思うと、手が震えてしまう。
だけどなんとか『忘れ薬』についての試験をこなせて、試験が終わると私は逃げるようにセブから離れた。
「まだ、試験終わらないの……」
「ロン、あとは魔法史の試験だけよ。それが終われば試験は全て終わるから頑張りましょう」
「魔法史!1番好きじゃないやつだよ!!」
「試験前におさらいしておきましょう。ね、アリアネ」
「……そうだね」
最後の試験は魔法史。
1時間の試験であり、『鍋が勝手に中身を掻き混ぜる大鍋』を発明した風変わりな老魔法使いたちについての答案を埋めたら終了。
1週間したら試験の結果がでる。
それまでは自由時間であり、試験が終わった瞬間、皆は歓声を上げていた。
「思ってたよりずーっとやさしかったわ。1637年の狼人間こ行動綱領とか、熱血漢エルフリックの反乱なんか勉強する必要なかったんだわ」
「そうね、思ったより難しいものじゃなくて良かったわ……」
試験が終わり、さんさんと陽の差す校庭には生徒たちが集まっている。
私たちも校庭に出ていて、私はハーマイオニーの言葉を聞きながら木陰に寝転んでいた。