第3章 不思議なみぞの鏡【賢者の石】
私たちはおずおずと、立ち上がった。
最後にと私は鏡を見れば、そこには優しい微笑みを浮かべた両親が映っている。
「あの·····ダンブルドア先生、質問してよろしいですか?」
「いいとも。いまのもすでに質問だったしね。でも、もうひとつだけ質問を許そう」
「先生ならこの鏡で何が見えるんですか」
確かにと思った。
私とハリーは家族で、ロンは首席だったけれどダンブルドア先生はなんだろう。
そう思いながら、彼を見ていればダンブルドア先生は静かに答えた。
「わしかね?厚手のウールの靴下を一足、手に持っておるのが見える」
「·····ウールの靴下?」
私とハリーは目をパチクリとした。
「靴下はいくつあってもいいものじゃ。なのに今年のクリスマスにも靴下は一足ももらえなかった。わたしにプレゼントしてくれる人は本ばっかり贈りたがるんじゃ」
よく分からなかったけれど、私とハリーは透明マントを被ってから寮へと戻った。
そして一人だけの寝室に戻ってから、二度と見てはいけないと言われた鏡を思い出す。
発狂してしまう、へたへたになってしまう。
その言葉を思い出しながらも、最後に両親の姿を見れてよかったと思いながら眠りにつくのだった·····。
その日、夢を見た。
『この子は、将来どんな子になるかしら·····ウィリアス』
『きっと、君とにて美人に育つはすだよ。なあ、ジェームズ、そう思うだろう?』
『ああ、きっとヘレンそっくりな美人になるはずだ』
『ふふ、将来が楽しみね、ヘレン』
『楽しみだわ、リリー』
知らない声が聞こえてきた。
ぼやけた視界の先には、四人の男女がいて、一人の女性は赤ちゃんを抱っこしているのが見える。
だけどぼやけて顔とかはよく見えない。
『アリアネ。アリアネ·····このネックレスを君にあげよう。これは君をどんな魔法からも守ってくれるんだ。闇の魔法からだって守れるさ』
一人の男性が、何かを赤ちゃんの首にかけていた。
『君の幸せを、君の未来をきっと守ってくれるよ、アリアネ』
その言葉を最後に、私は目を覚ました。
だけどまた、夢の内容を忘れていて、ぼぅ·····としながらも微笑む。
「忘れたけれど、すごく幸せな夢だったのは分かるわ·····」
また、見たいし次は覚えておきたいと願いながら私はベッドから降りるのであった。