第31章 そして、ドラゴン討伐へ
それは爆音を響かせて辺りの地形を破壊し、MENの思考を一瞬停止させた。それはこの様子を見ていた視聴者たちも同じようで、コメントの流れが一気に緩やかになり、次にはどっと驚きの声があがった。
たいたいドラゴンは何事もなかったかのように上空を旋回し出す。MENは弓矢を構えた。
「TNT吐いてくる以外は普通のドラゴンでは……?」MENは狙いを定めてたいたいドラゴンに矢を当てた。「おし、当たるな」
これでダメージ入ってなかったらパソコンの電源を落とすところだったわ、なんて冗談にも取れないような言い方をしたMENは、動き回りながらたいたいドラゴンの動きを見張った。時々飛んでくるTNTブレスも近過ぎなければそれ程痛くないものだと、MENはわずかに過信したが。
たいたいドラゴンが岩盤上に着地した時にそれは起きた。
「あ、来た来た。今なら……」
言いかけて途切れた。MENはいつものエンドラのように岩盤に向かって懐から顎下へダメージを与えようとしたのだが、まずその手間が省けたのだ。
たいたいドラゴンに吸い寄せられたのだ。
「な、えっ?!」
MENが困惑の声を上げている間にもたいたいドラゴンの攻撃は続き、TNTブレスを吹いた。
TNTはすでに着火済みであり、起爆したものから順に爆発し、いくつかは飛び散ってMENに掠った。
MENは咄嗟に岩盤の柱の裏に隠れてはいたが、これがたいたいドラゴンの技なのか、大きく動くことは出来ずに多少のダメージは避けられない状況だった。
「いてぇし動けねぇ!」
爆撃はそこまで長くは続かず、たいたいドラゴンの顎下に雪玉を撃ち込んで何度か斧で斬りつける。それなりにダメージが入ったが、そんなことより困惑の方が大きく、MENは飛び立つたいたいドラゴンをぼーっと眺めていた。
それから出た言葉は。
「なんで最後の最後にこんなやつが出てくるんだよ……」
たいたいドラゴンは、悠々と空を飛び回っていた。