第13章 アレの情報を
「くらえっ」
MENが放った矢がたいたい・ザ・スネイルに命中した。当たった感触があった。これはいけるのではと、MENはいつもやっている通りダッシュしてから振り向きざまに弓矢を射抜き、また走っては弓矢で攻撃するを何回か繰り返し、倒せると誰もが確信した時だった。
「うわぁっ?!」
MENが声を上げる。弓矢を構えながら振り向いた一瞬の隙に、命中率が低いと思われた建造物を投げつけてくる攻撃がMENに直撃したのだ。
即死だった。
「まじかぁ」と言いながらも笑っているMENさんは、迷わずリスポーンボタンを押してからハッとした。「あ、もしかしてリスポーンしない方がよかったか?」
このセリフ、さっきも聞いた言葉である。いつもの癖を優先したMENは、リスポーン画面のまま待機するという判断を忘れてベット上から復活してしまっていた。
「マズイマズイマズイ……!」
MENは大急ぎでダッシュした。三人称視点に切り替えたMENの後ろ側には、村人の家をあちこちに投げつけながら迫ってくるたいたい・ザ・スネイルの姿がある。ジャンプダッシュしていれば追いつくことはないようだが、今のMENには食料がない。走れなくなった時がMENの命運が尽きる時だ。
「と、とりあえずベットから離れろ!」
誰に言ってるのか思わずそう叫んだMENはとにかく遠くへ走った。どこに行くかは決めてはいないが、幸いなことにこの辺りは草原なので凹凸の少ない地形で走りやすい。
そうしてMENが走り続けていると、そこら辺に放たれた村人たちの横を通過した。おかげで村人の何人かがたいたい・ザ・スネイルから放たれる家の餌食になってしまったが、追われているMENはそこまで気にしている余裕はなかった。
「あ、ここからは海かっ」
MENの視界に広がるのは海。草原の先は大海原だったのだ。MENは今は何も持っていない。ボートを作る材料もないのでそのまま海へ飛び込んだがあっという間にたいたい・ザ・スネイルに踏み潰されて即死した。MENはマウスとキーボードから手を離した。
「ここは待機だな」
MENは、画面上のゲージを見つめながらそう言った。視聴者たちはいつも通りのことだとMENの判断を快諾した。