第2章 小豆娘
何にするか、俺がお品書きを見ながら悩んでいると、
「冨岡さんは何が好きですか?」
と聞かれる。
食べ物…だろうなと思い、
「鮭が好きだ」
と、迷いなく答えた。
すると…
「鮭がお好きなんですね!…すみません、鮭を使ってるお料理がないんです」
と言って、しゅんとしてしまった。
好みのものがなくて俺が選べないと思ったのだろうか。
申し訳なさそうにする に、逆にこちらが申し訳なくなってしまう。
「お前のせいではないだろう」
「でも、好きなもの食べたいですよね?」
なんと、そんな事を気にしていたのか。
さすがに好きなものがないから食べられないという歳でもない。
他のものを選べば良いのだから問題はないのだが、そこまで気にしてくれていたのかと思うと、なんだか嬉しいような、こそばゆいような気持ちになった。
「鮭は特別好きだが、俺は好き嫌いはないから心配無用だ」
「それなら良かったです」
「安心しました」と笑顔になる に、釣られて俺も口角があがる。
「じゃあ改めて、何にしますか?」
「では、おすすめはあるか?」
「はい、ありますよ!」
そう聞くと、先程より更に笑顔になる に、なんだか可愛いなと思ってしまった。
注文が済み、料理を待つ時間になり、ふと考える。
…渡すなら、今なのだろうか。
俺の傍にある風呂敷包み。
中には胡蝶から譲って貰った塗り薬と、先程炭治郎と選んだ草履。
食事の前だが渡しても良いのだろうか。
こういった類に全く縁もなく生きてきたが故に、どうしたらいいかよく分からない。
塗り薬は腕の傷をみてから渡す方が良いだろうが、いきなり腕を出せは失礼だろうか。
そういえば草履は?
サッと一瞬机の下を確認する。
が履いていたのは、昨日俺が直した草履だった。
新調する暇がなかったのだろう。
では渡しても問題なさそうだ。
だがしかし、食事の前に草履を出すのはいかがなものか。
女子への贈り物…
普通はどうするのだろう。
悶々と考えているうちに、
『お待たせしましたー!』
注文していた丼二人前がやってきた。