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水色の恋模様 【鬼滅の刃 冨岡義勇】

第2章 小豆娘





家の前に到着。
花里をそっとおろすと、今日の礼を言われる。


「大した事はしていない」

「いっぱいしてくれたじゃないですか!お礼させてください!」

「必要ない」


小豆を拾って荷車を押して運んだだけだ。
本当に大した事はしていないのだ。

今までも、鬼から助けると礼をさせろとの申し出がよくあったのだが、全て断って来た。
今回もそのようにするつもりでいたのだが…


「冨岡さん甘いもの好きですか?」


突然の方向転換。
食の好みを聞かれる。

……なんで?


「嫌いではないが、好き好んで食べるというわけではない」

「じゃあっ、ご飯!お昼ご飯食べに来てください!」


あまり甘味は好まないと伝えると、今度はご飯のお誘いを受けた。

…食べに来い?
家…ではないだろうから、店に来いと言う事だろうか?


「ご飯?お前の所は甘味処ではないのか?」

「お昼は定食もあるんです。美味しいですよ?」

「そうなのか」


なるほど。
甘味処と定食屋を同時に営んでいるとは。
なんと器用な事か。
感心していると…


「はい!私奢ります!」


ほぉ、それは随分と…


「男前だな」


心外!!
とでも言いたげな顔で俺を見上げた花里。


「そんな事ないと…思ったんですけど…」


“女性ながらに頼もしくて素晴らしいです“

と言ったつもりだったのだが…
全く伝わっていなかった。
正しく伝える事の難しさよ…

しかし、なぜ急にそんな事…。
……あぁ、そういう事か。


「それはさっき言ってたお礼ということか?」

「そのつもりでした…」


それで俺は奢られるのか。
どうしてもというのなら…いや、奢られるのはやはり抵抗が。
そこは俺が出すのがいいのではないだろうか。
うん、そうしよう。

一緒に食事、か…。
柱になってからは、一人で食べるのが当たり前になってしまったが…


「いつも、食事は一人でとっているが…」


昔、姉さんが俺に教えてくれた事。


「誰かと食べる食事の方が、美味いのだと言っていた」


『一人で食べるよりもね、こうやって一緒に食べてくれる人がいるだけで、何倍も美味しいのよ?』


俺と食べるご飯は最高に美味しいのだと、一緒にご飯を食べながらにこにこと話してくれる姉の姿を思い出した。





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