第6章 幸せな時間※裏表現あり※
片付けが終わり、コーヒーを片手にソファに戻る。
「さ、映画でも見てゆっくりしよう!」
「…今流行っている映画を見られるアプリがあるのか。」
セイヤが興味深そうに私のスマホを覗き込む。
「あなたのスマホにも入ってるんじゃない?」
「そうなのか。全然知らなかった。」
「あ、ほら。こうやってテレビに繋いで…どれがいいかな?」
「うーん。あんたが決めてくれ。俺はあんたが決めたやつが良い。」
SF、恋愛もの、サスペンスにホラー
色々あるけど私が好きなのはやっぱり恋愛ものかなぁ…。
「これ、どうかな?」
「【君の恋人になれたら】これがタイトルなのか…それにしよう。」
再生ボタンを押し映画が始まる。
笑いあり感動ありの恋愛映画のようだ。
「あ!この人!今勢いのあるアイドルが出演しているんだ〜!」
「…そうなのか。」
さほどキャストには興味がなさそうにセイヤはテレビ画面をじっと見ていた。
「…ところで夢主、落ち着かないんだが。こっちにきてくれ。」
「へ…?あ、ちょっ!!」
そう言ってまたセイヤはソファの奥深く腰掛け、目の前に抱き抱えるような格好で私を座らせると満足そうに両腕を回してくる。
先ほど同様、ちょうど抱き締められる姿勢で耳元にはセイヤの息がかかる。
「…どうしたんだ?耳が真っ赤だぞ。」
耳元でわざとらしく囁くセイヤ。
顔を隠したくても抱き締められて私の腕に自由はなさそうだ。
しっかりと固定されているためなす術なく少し縮こまるのが精一杯。
「…セイ、ヤ…耳、くすぐったいよっ…」
「そうか。残念だが、俺はこれが良いんだ。」
たたみかけるようにセイヤはふぅっ、と私の耳に息をかけてからかってくる。
「ひゃっ……ん、もうっ!」
「嫌、なのか?」
まるで寂しそうな子犬のような目でセイヤがこちらを見つめてくる。
そんなのずるい、反則だ。
「いや、じゃ…ない…」
「そうか。嫌と言われても、離せないんだがな。」
ククッと楽しそうにセイヤは笑っている。
頭にキスされ、瞼、耳、頬…。
次は唇にキスをしてくれるのだと思い私は反射的に目を閉じて唇を尖らせる。
「…」
「…?」
「可愛すぎる。写真に収めておきたいくらいだ。」
「…?!?!」
「今のあんたの顔、すっごく良かった。」
「セイヤ…!ちょっと、意地悪しないで!!」