第1章 私の妄想
私は一目惚れの恋に落ちた。
先日、任務で出会った「セイヤ」という人物。
「っ!!」
(どうしよう…なかなか手強い。押されてるっ…!)
キィンッッーー
危ないっ…!そう思ったところで目をぎゅっと瞑ったが攻撃が来ない。
「…っ?!!!」
目を開けると、私の目の前に背の高い男性の姿があった。
そして先ほどまでのおびただしい数のワンダラーは一瞬で消え去ったようだった。
(嘘…あんな数のワンダラーを一瞬で…!)
「…あんた、怪我をしているな。立てるか?」
「……」
「…なぁ、大丈夫か。」
淡々とした口調の中にすこし優しさを感じたのは彼が、座り込んでしまった私に手を差し伸べてくれたからだろう。
「あ、ありがとう…」
「あぁ、問題ない。それよりここは危険だ。あんたは怪我もしている、早めにここを去ったほうがいい。」
「私、これでもハンターなの!いつもはこんなことでは負けないんだけど、、、」
「…そうか。だが今のあんたは満身創痍って感じだな。さっさと帰って手当てをすることだ。」
確かに彼のいう通りレーダーが安定していない。ここが危険なのは私でもわかる。
ただ…。
「っ!!」
「あんた、もしかして足を挫いたのか。それじゃあ歩けそうにないな。」
「え、ちょっ…!!!」
ふわっと視界が高くなる。
気づけば彼に抱き抱えられていた。
「降ろして!歩ける、からっ!!!」
「無理だな。実際一歩も進めていなかった。」
「…あり、がとう」
(…こんな時なのにっ…!心臓がうるさいっ!!)
私は今日会ったばかりの男性にお姫様抱っこされることになり
すっごく恥ずかしかった。それはもう、怪我の痛みも忘れちゃうくらい。
しかしそんな私とは正反対に、そんなことは全く気にも止めていない様子で彼はあっという間に森の中を抜けた。