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夢と現実と時々妄想

第4章 勇気


「私もセイヤのことが好きなの。」

「…っ!それは嬉しいな。」

ドキッドキッ

自分の心臓の音がうるさい。
抱き締められる格好で、聞こえてくるのはセイヤの心音。早い。
胸にそっと手を添える。

どちらのか分からないほど近づいているからこのドキドキはおそらく2人ともなんだろう。間違いなく私の心臓は今までにないほど早く活動していた。

セイヤがどんな顔をしているのか興味が湧いて
恥ずかしいけど少し顔を上げようとすると優しく額の当たりを抑えられて阻止される。

「……今は、見ないで欲しい。」

若干耳が赤いのが目に入ったのを確認して私は満足した。
2人とも同じ気持ちなんだということがすごく嬉しくなった。

「私、セイヤに初めて会った時から。実は一目惚れだったの。だからなんとか距離を縮めたくて。でも、正直あなたが何を考えているのか分からないこともあって…」

「俺は、それより前にあんたを見つけていた。」

「…え?」

話せば長くなるが、と言いながらもセイヤは簡潔に話してくれた。
昔出会っていたこと。
私が周りから受けていた扱い、特別といわれながら大人に利用されていたこと。

「都合よく使われて、でも、子供の頃は力を制御できないことも多くてね…そしたら今度は恐怖の目で見られるの。不思議。なんで?って思ってた。私は人の役に立てないのかなって。」

「周りを責めないあんたは偉い。だが、他人のことは気にし過ぎても良いことはない。まずは自分を大切にして欲しい。あんたが自分自身を守らないなら、俺が守る。」

そういって抱きしめる腕に力がこもるのを感じる。
なんて居心地がいいんだろう。

あったかくて、穏やかで優しくて。
もう少しこのままいたいな。

これも、セイヤも同じ気持ちかな。
そうだと良いな……。

気がついたら寝ていて目が覚めると夜になっていた。
私も、今回は半日だったけど
こうして寝て過ごすのも悪くないな、なんて思ったりした。

最近怖い夢を見て眠りが浅い日が続いていたからこんなにしっかり熟睡したのは久々だった。
寝起きの気分が良かったのは熟睡したおかげでもあるけどきっとーー。

隣にいるセイヤの顔を見て幸せを噛み締める。
抱き締める格好は崩れていたものの私たちはしっかりと手を握ったまま寝ていたようだ。

今日はこのままもう少し愛おしい人の寝顔を見ていることにしよう。
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