第4章 勇気
「たとえばなんだけど。前に一緒に楽しく遊んだあとから突然連絡が来なくなっちゃったりして…それって…私何かしちゃったのかな…」
「うんうん!それって恋のお悩み??」
さすがに誤魔化せずに、私はゆっくり頷く。
「なっ、、!ま、まぁ。そうかな。私は一目惚れなんだけど。彼のことがよく分からなくて。」
「うぅーん。そうだなぁ〜、仲良しなんだよね?そしたら忙しいとかじゃないのかな?お家とか知ってるなら会いに行ってみるとか?」
「うーん。突然行ったりして迷惑じゃないかな、なんて。」
いまいちセイヤとの距離の詰め方が分かっていない私。
一目惚れなんです、って?
いやいや。セイヤ真面目っぽいし。
もう少しセイヤのこと知りたいし、私のことも知ってもらいたい。
それにもしダメで今のこの関係が崩れてしまうなら勇気なんて…。
「はーい!弱気になっちゃダーメ!ほら、ドライブでもして気分転換しない?ビーチにでも行こうよ!」
私の気持ちを見透かしたようにモモコが少し大きい声を出す。
モモコの友人が迎えにきてくれることになったらしいが、私は気乗りしなかったので遠慮することにした。
「せっかくだけどやめておくよ。…ありがとうね。モモコも楽しんで!」
「そう?分かったよ!それじゃあ、夢主ちゃんも自分の好きなことしてリフレッシュしてね!」
本当にモモコの明るさに助けられた。
前回クレーンゲームをしてからセイヤとは連絡を取っていない。
いや、取っていないというか返信がないのだ。
未読スルー…さては嫌になって連絡先を消されたのだろうか。
家に突然押しかけるのも、しつこく連絡をするのも
恋人でもないし…なんて弱気な気持ちが出てしまってすごく気が滅入ってしまっていた。
そんななかで彼女の明るさに元気をもらい私も少しずつ前向きになれた気がする。
何かしてしまったのか聞いてみよう。
このままでは嫌だ。きっと私は後悔する。
ーーピンポーン
「…」
「いないのかな。」
ーーピンポーンピンポーン
「…」ガチャッ
「あ、えっと…あの…!」
「あぁ。あんたか。……ちょうどあんたの夢を見ていたところだ。入ってくれ。」
突然の訪問にさほど驚く様子もなく家の中に招き入れてくれるセイヤ。
あれ…嫌われてるわけじゃ……??
嫌いな人、普通家にあげない、よね?