第5章 知恵者グレーテル〜旦那が勝つか私が勝つか?
「私は子供が産まれたら離婚してやっていきたいです。実家の両親には迷惑かけるかもしれないけれど頑張っていきたいと思ってます。実は私が働いていたスーパーって実家の方にもあって系列店だということがわかったんです。今度、店長に聞いてそっちの方に移れないか聞いてみます。そしたら里帰り出産も兼ねて実家に行こうと思ってます。それ以降のことは子供が産まれたら考えます。」
私がきっぱりこう言ったので健太も言葉が返せなくなったのかぶつぶつ文句を言いながらも了承してくれた。
それに実家の両親が歓迎してくれて嬉しかった。
「こんなことになってるなんて・・・気づいてあげられなくてごめんね。」
「ううん。私がお母さんにもっと電話とかLINEとかすればよかったんだよね。ごめんね。あと迷惑かけると思うけど。」
「そんなの気にしないでいいのよ。実家に帰っておいでよ。こんなクズな旦那さんいらないでしょうから?よくもうちの娘を傷つけてくれましたね?あとは弁護士に任せましょう。」
それから私は弁護士を雇って相談に乗ってもらった。裁判はやりたくないと言ったら慰謝料だけ請求しましょうと言ってくれたので指示に従った。
そしてー。
「ほぎゃあ、ほぎゃあ!!!」
私は2,600gの元気な女の子を出産した。名前は衣奈ちゃん。そして旦那だった健太からは離婚届けにサインをもらったので娘は私の名字になった。
臨月に入る前に実家に行くために色々と準備を進めていた私は両親が来てくれて荷物を運んでくれたりして助かった。
それから私は健太から慰謝料も少しずつであるけどもらうこともできたし、養育費も貰うつもりだ。
義理の両親はよくしてくれたので孫には時々、会わせてあげたいと思っている。そのことを電話で伝えたらすごく喜んでくれた。