第1章 シンデレラ〜継母との確執
「ねぇ、この間の婚活パーティーどうだったの?」
この日の仕事終わりに、看護師の花村さんがワクワクして聞いた。
「うーん。いい人いなかったですね。」
「そっかぁ。でもまだ若いんだし他にも婚活パーティーいっぱいあるからさ。」
「それがですね・・・婚活パーティーから家に帰ってきたら母に怒られちゃいましてしばらく行けそうにないんです。提案してくれたのにすみません。」
「あーなるほどね。娘を嫁に行かせるのに戸惑ってるとか?昭和気質の人ってそういう考えの人いるよねー。お母さん頑固な人とか?でもそれって山田さんのとこが大切だから言ってるんじゃない?嫁に行かれると寂しいとか?」
花村さんっ、それ違います・・・なんて言えるわけでもなく必死に作り笑顔を浮かべる私。
「あはは、そうなんですかね?お疲れ様です。私はこれで帰りますね。」
「お疲れ様でした!また明日!」
花村さんに挨拶した後は遅番や夜勤の人にも挨拶して帰宅した。
「ただいまー。」
帰宅すると珍しく父が帰ってきていた。
「なんだ、仕事だったのか。」
こっちが"ただいま"って言ったんだからおかえりくらい言えや!!!という感情は押し殺して深呼吸すると靴を脱いで家に上がった。洗面所で手洗いうがいを済ませて私は自室で着替える。自室は狭い屋根裏部屋だ。でも屋根裏部屋で寝るのが憧れだったので嬉しかったけども。
「随分と遅かったじゃないか!5時半で終わったらサッサと帰ってくるんだよ!たっくー寄り道してたら承知しないよ!」
キッチンで料理をしている母が私を睨みつけて言った。
しまった!寄り道はしてないけど花村さんと話し込んじゃったなと焦る。こんなことバレたら職員とは口を聞くなとか言われそうなので黙っておこう。
「寄り道はしてません。誤解させてしまったのならすみません。」
「テーブルに料理を運びな!」
「はい、わかりました。」
私がテーブルに料理を運んでも父と母の分のご飯とお味噌汁しかなく後はてんこ盛りのおかずだけ。
「料理が余るまで待ってるんだよ?いいね!」
「わかりました。」
この日の食事も両親が食べてからやっと食べることができた。そんな私に追い討ちをかけるように母がタイマーをかけて私の食事を急かしてきた。これじゃ、食べた感じしないな。