第1章 シンデレラ〜継母との確執
介護施設で働いた理由は母からの勧めだった。本当はやりたい仕事があったのに許してくれず地元の介護施設ならいいと言われたのだ。
でも、家から出るチャンスだったし、ずっと家にいて息が詰まるくらいならここがいいかなと思い選ぶことにした。面接で合格して施設を見学。そして介護士としてあせくせと働いている。
それとなぜ母が介護施設を勧めたのかも目に見えている。自分が老いた時に養って欲しいからだろう。
「さてと。」
床の掃除が終わると溜まっている食器を洗う。食洗機はダメだと言われているので全部が手洗いだ。それが終わると食器を拭いて片付けて風呂掃除に入る。
その間、母はリビングでくつろいでテレビを見ている。
ああ、私も早くお嫁に行きたい。そうすればこの家から出られるのに。今は外出許可がないと出かけられないし、仕事の時しかまともに外に出られないだなんて。こんな生活を送っていることは流石に仕事仲間にも言えないでいる。
ため息ばかり漏らしながらも浴槽をブラシで擦った。
どうしてこうもうまく行かないのか。シンデレラみたいに魔女のおばあさんが出てくるわけでもなくカボチャの馬車もない。そう簡単にはこの生活から抜けられそうになさそうだ。そう思うと今の所は諦めることにした。