第4章 北風と太陽〜居場所のない家庭生活
「えっ、ここは?」
気がついたら自宅にいた。
「全くーお金かけさせないでよね。」
妻が呆れてそう言うと寝室のクローゼットを開けて言った。
「私は一体?」
何が何だかわからずにぼんやりしてると妻がため息混じりに言った。
「あなたは足を骨折したんですよ。病院で処置してもらって自宅にいるんです。なんだか気絶もしてたみたいよ。複雑骨折で全治3ヶ月ですって。無茶なことしないでください!熱があるなら部屋で休んでいればいいでしょう?」
「仕方ないだろ!娘と君の会話が聞こえてきたんだからアクキー?だかなんだか見つけずにはいられなかったんだ。アクキーが見つかったんだからいいだろう?どうせ、私のことなんか何にも心配してないくせに。」
私はついカッとなって声を荒げてしまった。
「何が不満なんだ?金か?それともなんだ?」
「あなたはいつもそうやって言葉を荒げるんですね。昔からそう。夫婦の間であなたから子供の話を聞いてこなかったですけど?」
それは確かにー。
「育児に参加してくれてたのはありがたかったですけどね、私が呼ばないとすぐに自分の部屋にこもってゲーム三昧ですもんね。」
「それは今はやってないだろ?昔の話だ。子供ができてからはゲームは控えてたぞ!」
ベッドに横になりながら訴えるも、この家族とは仲良くやっていけないと思った。その時だった!
「そんなに言わなくても良くない?」
娘の海夢が寝室に入ってきた。
「あたしだってお父さんに色々と言って悪かったけど。あたしの大事なもん拾ってくれたんだもん。お父さん今までごめんねーそして拾ってくれてありがとう。」
「海夢・・・。」
そして琢磨もやって来た。
「俺も悪かったよ。骨折大変そうだから何かあったら言ってくれよ。」
「2人ともありがとう。」
子供達の言葉に妻がため息をついて言った。
「もういいわ。昔のことは水に流してあげるわ。仲良く協力していきましょう。何かあったらスマホで呼んでね。それじゃあ。」
妻と子供達が寝室から出て行った。
風向きがなんだか上向きになった気がした。