第1章 シンデレラ〜継母との確執
「その服じゃダメだ。これに着替えてから掃除を始めなさい。」
「はい。お母様・・・。」
「化粧までしたのかい?あんたが化粧して化けたってさらに汚くなるだけだろうに。まさか男に媚を売りに行ったんじゃないのか?」
「いえ、その・・・。」
言われてみれば男に媚を売りに行ったで間違ってはない気もするけどそれって正しいのかと疑問になる。
私は母に言われた通りに化粧を落としてボロいワンピースに着替えてキッチンに戻ってきた。そして母から箒をひったくって掃除を始めた。
この時代には掃除機だってクイックルワイパーなんて便利な掃除用具もあるのに使ってはいけないと言われて旧式の掃除用具で掃除をしている。
ああ、めんどくさっ。
それになぜ、私が働きに出ているのかと言うと母は仕事をしてないし父は恐らくまた酒か不倫でもしてるのだろう。父が家に帰ってくるのは2日に1度か夜になってから。この家にお金を入れる人はあんたしかいないと言われて私が渋々働きに出ている。
別に働きたくないわけではない。働いたお給料が自分に回ればいいのだが、税金などを抜いては私の稼いだお給料は全て家に回される。だから私が自由に使えるお金はほぼないのだ。
箒で床を掃いてちりとりで取ってゴミ箱に捨てたら床を磨くべく雑巾をバケツに入った水で絞って拭く作業に移った。
本当は今日の婚活パーティーだって継母が友達とランチに行くって言うからその隙に出かけたのにこの有様。やっぱり怒られたか。
私は継母の不満をぶつけるようにして一生懸命に床を磨いた。床を磨きながら思う。なぜこの暮らしを続けているのか?そして父と継母が出会った経緯の話をしようと思う。