第2章 ジャックと豆の木〜僕と夏休みの豆研究
8月も過ぎるとカスタノ君はぐんぐんと伸びていったよ。
「随分と伸びたなぁ。そろそろ剪定が必要なんじゃないか?」
お父さんがカスタノ君を見て驚いて言った。
「せんていってなに?」
僕が聞くとお父さんは見たこともないハサミを持って来て言った。
「これは植物を切る時に使う剪定バサミっていうんだ。紙を切るハサミとは違う形だろう?植物は大きくなると少し葉っぱや枝を切らないと全部に栄養がいかないことがあるんだ。じゃないと枯れたりするからね。ほら、ここを切ってごらん。持ち方はこうだよ。」
お父さんに教えてもらいながらカスタノ君を切った。
切ると何だか切ない気もするけどこれもカスタノ君のためだもんね。僕は伸び切った所だけ切ることにした。
でも葉っぱを捨てるのが勿体無いから画用紙に貼って工作に使ったんだ。これで自由研究がふたつできたね。
そしてこの日の夜に僕はなぜかカスタノ君の前に立っていた。
あれ?おかしいな?カスタノ君ってこんなに伸びていたっけか?すでに天井を突き破っている。僕は2階のベランダからカスタノ君によじ登ってみたんだ。
よいしょっ、よいしょっ。
少し怖かったけれどカスタノ君に登って見た景色は素晴らしかったんだ。星が瞬いていて綺麗な夜空が広がっていた。
あっ、あんな所にお城があるぞ。僕はお城を見つけて歩いて行った。
「すみません。どなたかいませんか?」
お城のドアを叩くも静まり返っている。おかしいなと思いつつドアに手をかけると開いてしまった。
「すみません、入りますよ。」
僕がお城に入ると何やら大きな音がした。
ゴゴゴゴーガガガガー
うわっと思わず耳を塞ぎたい気分になり僕は耳を塞いだ。この音はどこかで聞いたことあるぞ!あっ、いびきの音に違いない。