第2章 ジャックと豆の木〜僕と夏休みの豆研究
「お母さんその本は何?」
僕はお母さんにワクワクして聞いた。
「あーこれは植物図鑑って言うのよ。ここにあるのは食べるためじゃなくて育てて観察するためだけの植物が書いてあるの。よかったら自由研究に使ったら?」
「ありがとう。これ図書館で借りたやつ?」
「うちで買った本よ。」
「そっか。じゃあ、借りてくね。ごちそうさまでした。」
お昼を食べ終えて僕は食器を流しに下げると植物図鑑を手にして自分の部屋に行った。
そうだ!植物を育てて研究しようっと。なんの植物にしようかな?
朝顔は1年生の時に育てたしひまわりは去年、育てたし・・・パラパラとページをめくっていくとある植物が目に入った。
この植物はなんだろう?かすたのすべるまむ??ふむふむジャックと豆の木に出てくるあの豆なんだね。この植物いいなぁー。
僕はこの植物の虜になってしまった。
「おかーさん!!!」
僕は一目散に階段を降りて行った。
「どうしたの?」
お母さんは買い物メモを書いているところだった。
「カスタノスベルマムを買いたいんだ。」
「はぁ?何それ?」
「ジャックと豆の木に出てくる豆なんだって。今年の自由研究はこの植物を育てたいんだ。」
僕がワクワクして言うとお母さんは淡々と言った。
「お父さんにも相談してみましょう。第一そんな珍しい植物って日本で売ってるかしら?もし売ってなかったら諦めて他の植物を育てなさいよ。」
「僕は絶対に諦めないよ。カスタノスベルマムを育てるんだ!」
こんなに自由研究に熱が入ったのは初めてかもしれない。だっておとぎ話に出てくるあのジャックと豆の木に出てくる豆が育てられるなんて??
もしかしたら天井を突き抜けて巨人の国に行けるかもしれないと思うと僕は待ちきれなかった。