第1章 シンデレラ〜継母との確執
父が他の女とラブホテルにいるのは薄々気づいていた。
いつも楽しそうにスマートフォンで話してる相手が女性の声だったし、うっかりスマートフォンを覗いてしまった時にLINEのトーク画面を開いたら女性とのやり取りがわんさか出てきたのだ。
でもこれって普通は不倫だよね?継母は不倫を許したってこと?気に食わないなら問い詰めるよね?それとも鈍感で気づかなかった??
「山田さん、起きてください。」
「あれ?いつの間に私?」
いつの間にか私は寝てしまっていて体にはブランケットがかけてあった。
「お疲れなようでしたのでソファーに横になってもらいました。その間にラブホテルに電話かけておきました。ドキラブ×2にそれらしき人が入っていたそうなので山田さんのお父さんに間違い無いかと思います。警察にも電話しておいたので今、そのラブホテルに向かってくれてると思いますよ。ここまでよくがんばりましたね。お疲れ様でした。」
佐伯さんに起こされて抱きしめられた私は安心したのか溜まっていた涙が溢れ出してわんさか泣いた。
「ずみません・・・こんなところで泣いてしまって。」
「いえいえ、本当にお疲れ様です。実は山田さんに報告したいことがありまして。」
「報告ですか?」
「はい。最初は事務所に通ってくださるお客様としか思えなかったんですけどこうして苦楽を共にしてきて心が揺さぶられていきました。裁判が終わったら僕と結婚しませんか?」
「えっ?えええー?いや、あのその・・・デートとか何もできてなくてすみません。」
私は驚きのあまりアタフタしてしまった。
「仕方ないですよ。これからゆっくり愛を育んでいけばいいじゃ無いですか?実はこれを機に僕の両親も紹介しておきたいですし。実は僕・・・言ってなかったんですけどおじいちゃんが大手の銀行を取り締まってまして父が株式会社のメディアホールディングスで社長をやってます。僕は次男なので兄が会社を継ぐんですけどね?あれっ山田さん?」
佐伯さんにそう言われて驚きの連続で言葉が出なかった。
メディアホールディングスは地元では名の知れた会社で5億円の売り上げを記録していると聞いたことがある。
「あの、もしかしておぼっちゃまですか?」
私がそう聞くと佐伯さんは照れくさそうに笑って頷いた。
「まぁ、世間的にはそうかなと?」