第1章 シンデレラ〜継母との確執
佐伯さんからの第3の秘策として弱みを握ったらその隙に銀行カードと通帳や印鑑を確保しておくことだった。実は私の銀行カードや通帳、印鑑は継母に奪われてしまって管理されていたのだ。だから、見つけ出して自分の懐に保管しておく必要があった。
たまたま父もいなくて母も出かけている隙にあちこちと探したら見慣れない金庫が倉庫にしまってあった。鍵は電話帳が置いてある棚の引き出しから見つかり、金庫を開けてみると私の通帳などが入っていたのだ。急いで銀行に出向いてパスワードを変更しておいたのだ。
うまく行ったと思った私は明日は事務所に出向いて佐伯さんに報告しなきゃと考えていた。
しかしー。
「起きろ!遅いんだよ。たっくー。」
夜明け前の3時に起こされて目をこすると継母が私に言った。
「昨日はよくも怒らせてくれたね!あんたは当分、外は出なくてよろしい!」
そう言って屋根裏部屋のドアを塞いでしまったのだ。
釘を打つ音が聞こえる。
すると姉たちの声がしてドアの向こうでぎゃあぎゃあと騒いでいた。
「うるさきんだよ!静かにしろよ。よくも起こしてくれたな!」
私はそんな姉たちの声を聞きながらどうやってここから脱出するか考えていた。
屋根裏部屋には小さな小窓はあるけど私が通れるかどうかわからない。とりあえず佐伯さんにLINEを打ってこの日は寝た。
朝の7時に目覚めた。ドアを叩く音で目が覚めたのだ。
「あーちきしょう!ドアを塞ぐんじゃなかったわ。」
継母がぎゃあぎゃあ騒いでいる。
私はその隙にLINEを確認した。すると佐伯さんから返信が届いていた。
【それは大変ですね!山田さんの住所を教えて頂きたいです。小窓から助ける方法を考えてみます。】
【ありがとうございます。私の住所はー。】
住所を打ち込んで周りの目印も書き込んだ。
やばい!トイレに行きたいっでもドアは閉まってるし。そう思った時にドアからものすごい音が響いた。やがてバリバリと壊れていき、私は屋根裏部屋から出ることができた。一目散にトイレに駆け込むとトイレのドアを継母が開けてきて言った。
「さっさと掃除をするんだよ。まずは下のトイレ掃除から。」
「でも2階のトイレ掃除からやっても変わりませんよね?現に今、便座に座ってますし。」
私が反論すると継母が顔を真っ赤にしてワナワナと震えていた。