第1章 シンデレラ〜継母との確執
この日は散々だった。姉たちが来るなら仕事を入れておくべきだったのだが、この日は絶対に休むようにと継母に念を押されたので仕方なく家で家事や掃除をやることになった。
「ふぅー終わった。」
ようやく色々と終わってお風呂に入る。温め直しても結局は温かいお風呂には変わらない。私はサッと入って頭と体を洗って出ると着替えて髪の毛を乾かしていた。
その時だった。
「ちょっと、どういうことよ!!!」
いきなり継母が脱衣所のドアを開けてドタドタと入ってきた。私は何事かと思ってキョトンとする。
ドライヤーのスイッチを切って話を聞くことにした。
「すみません、本日の家事が至らなかったのでしょうか?」
「違うわよ!あんた介護士はどうしたの?」
「えっ?あっ・・・。」
そういえば介護士をしていた頃は毎月のお給料日になると封筒に入っている明細書を継母に見せていた。しかし、介護士を辞めている今ではそれが疎かになっていたので不審に思ったのだろう。
でも誤魔化すまでもなく私ははっきりと言ってやった。
「随分と前に辞めましたけど?」
「なんですって?何で私に相談しなかったのさ?」
継母はすごい剣幕で怒り狂って私の胸ぐらを掴んできた。
「ずっと不満だったんです。家で色々とストレスだったのでそれを施設の利用者様に向けたくないと思い辞めてきました。このままだと私の体や精神がもたなかったので。勝手に辞めたことはすみませんが、こうするしか手段はありませんでした。」
私が淡々と言ったのがさらに気に食わなかったのだろう。継母は私の頬を引っ叩いた。それと同時に私はぐらついて床に倒れ込んだ。
「殴るならお好きにどうぞ。でも私は介護士に復職する気はありませんから。」
「働いてないでどうやって生きていくんだい?」
「働いてないでと言いましたよね?それは飛んだ勘違いですよ。まぁ、今の仕事が何かは教えませんけどね。」
「随分と生意気な!あんたは屋根裏部屋に行くんだ。食事は今度からあげないからね!」
「そうですか?それならどうぞ。お好きに。」
私はニヤリと笑って半乾きの髪の毛をかきながら階段を上がって行った。
実は姉たちが来るまでに私にはやっておかねばならないことがあったのだ。