第1章 シンデレラ〜継母との確執
「解析できましたよ。」
佐伯さんにそう言われて私は防犯カメラの映像を覗き込んだ。
今の時代は防犯カメラの映像も鮮明に映るんだと感心しながら見ていると継母が私に暴言を吐いたり暴力を振るってるところや私が床を磨いてるところ、父親から嫌味を言われているところがバッチリと映っていた。
「いいのが撮れましたね。次はご両親の弱みを握ってきて欲しいのですけど何か心当たりはありませんか?」
佐伯さんにそう聞かれて私は考え込んだ。
弱みなんてあったかな?
「うーん。父は酒とタバコがないと生きていけない感じするので取り上げればいいのかな?でもどうやって??母は昔から韓流スターのチャン・ドンソクさんが好きで熱烈なファンみたいでした。いつも私がダイニングの床の掃除をしてるとテレビから韓国ドラマが流れていたしチラッと見たら同じ俳優さんが出ていたので気になって後で調べたらその方の名前が出てきたので弱みと言われましてもそれくらいしか思いつかないですね。」
私は薄ら笑いを浮かべたが正直に困ってしまった。
他に弱みが思いつかなかったからだ。
「なるほど。それでは日常生活の中で掃除などやりながらご両親の私生活を観察したらどうでしょう?」
「観察ですか?」
佐伯さんに提案されて私は首を傾げる。
「山田さんが掃除をしてる際にご両親は好き勝手にやってるんですよね?それなら、掃除をしながら行動を伺うのはどうでしょう?そうすれば少しでも何が弱みなのか分かってくると思います。あとはご両親の会話を盗み聞きしてきてください。」
「わかりました。できるだけやってみます。」
この日は事務所に泊まる日だったので久々にゆっくりお風呂に入ることもできてぐっすり眠ることもできた。
明日からいよいよ準備の第2弾に入る。頼むからうまく行って欲しい。