第1章 シンデレラ〜継母との確執
早番の仕事から帰宅。寄り道なんて許されてないけど、急いで薬局で生理用品を買った。継母にバレないように屋根裏部屋にしまう。
帰ってきて手洗いうがいをして早々に庭の草むしりをやらされた。
「なんでー。」
と小さく呟くと軍手をはめて草をむしる。むしった草はゴミ袋に入れて燃えるゴミの日に出すのだ。当然、草刈機なんてものは使えない。この炎天下の中、帽子を被ってひたすらに草をむしっているとあっという間に夕方になった。
「ちょっとあんた!草むしりにどれだけ時間かけてるのかい?」
「すみません。草の量が多くて。」
「言い訳はいいからサッサとお風呂掃除をするんだよ。」
デッキブラシで頭を叩かれてため息が漏れる。手伝いって量と質も考えてから言えよ!
「こんなんじゃ、嫁にも行けやしない。」
「はいはい。」
「はいは一回でよろし!」
「はい・・・。」
私が20歳になると花嫁修行だとか言って手伝わせてるけどそれは単なる口実に過ぎない。自分が楽したいから押し付けてるだけなのだ。小学校の頃は躾と称して色々させられたり、時には母から根性が足りないと殴られたこともあった。その度に反省してないとひたすら泣きながら反省文を書かされたこと数知れない。
あの時は寝る暇も惜しんで頑張っていたなぁ。
これは私が継母と出会った頃の話だ。小学5年生になった私に嬉しいお知らせが舞い込んできたのだ。それは学校行事でキャンプに出かけることだった。1泊2日でクラスのみんなや先生とキャンプ場まで歩いて行ってテントで泊まるという、地元の小学生なら誰しも通る行事なのだ。
「あの、学校のお知らせがあります。」
私は渋々と母に学校で配られたお知らせのプリントを見せた。
「なんだいこれ?あははっ、キャンプゥ!!!?辞めた方がいいよ。山なんて危なかしくって熊でも出たらどうするんだい?それに夏なんて虫に食われちまうよ!蚊に刺されても何も出しませんからね!」
母はプリントを見るなり笑って言った。
「でもそれは夏なんだから仕方ないよ。」
私が必死に弁解する。
「なんで夏なんかにキャンプに行くのかね?お泊まりなら学校でも十分なのにさ。クラスの子と泊まるのかい?そんなところ行かなくて良し!」
母は鼻を鳴らして笑った。