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【甘い罠】(テニプリ 跡部)

第1章 1


そんな事を考えて顔を青くしている叶弥に、跡部は微かに微笑む。
そして、俯いた叶弥の頬に片手を添えると、耳元で「お前のだよ」と囁いた。
その言葉に、叶弥が目を丸くする。


「わ、たし、の…?」
「あぁ。そもそもお前以外に誰がいるんだよ」
「でも、さっきは…」
「うるせえ。こういうもんは、其れ相応の雰囲気ってもんがあるだろ」
「なによ、それ」
「とにかく、それはお前のだ。誕生日、だろうが」
「…え?」
「今日、お前誕生日だろうが」
「!!……忘れてた…」
「はっ、そんな事だろうとは思ってたぜ。ったく、こんな場所じゃなく、ちゃんとした場所を用意してたってのにな」
「…ごめん」
「まぁ、いいさ」


跡部はそう言って笑うと、ゆっくりと体を起こししおらしくなった叶弥にキスの雨を降らせた。
額に、頬に、瞼に、そして唇に。
そのどれもが甘く優しいもので。
叶弥は抵抗する事すら忘れて、跡部に身を任せた。
そうして、唇が解放されると小さく呟く。


「私、蝶になった気分」
「アーン?どういう意味だ」
「跡部の罠に、まんまとハマってる気分」
「はっ、そうかよ。なら俺様は蜘蛛ってところか。捉えた獲物は逃がさねぇ」
「…たち悪い」
「言ってろ。俺は、お前を離す気はねぇよ」









『細田って奴には、しっかりと話しておいたぜ』
『何を?』
『お前は俺にしか、幸せに出来ねぇってな』






「ねぇ、もう不安じゃない?」
「さぁな。けどま、お前が俺以外を好きになるなんてあり得ねえからな」
「うわ、凄い自信」
「アン?違うのかよ」
「違わない」


叶弥の答えに跡部は屈託のない笑みを浮かべる。
愛しくて、飛び込んだ腕の中で叶弥はそっと目を閉じた。
そんな叶弥を跡部はしっかりと抱き締める。
そして、愛おしそうに髪を撫で見つめる眼差しを。
叶弥本人は、まだ知らない。




彼からのプレゼントは、雫の形のペンダント。
そこに刻まれていたのは、
『Dearest you(最愛の君)』の一言。
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