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お友達から始めよう【ヒロアカ】

第11章 備えあれば


 雄英体育祭当日、校門前には普段とは比べものにならないほどの人々が集まっていた。
 普段の静寂は破られ、雑然とした喧騒が広がる。
 校門を取り囲むように、厳重な入場検査の列が遠くまで延々と続いていた。

 列に並ぶ人々の中には一般客や報道関係者がひしめき合い、警備担当のプロヒーローたちが厳しく監視している。
 この体育祭が、いかに大規模で重要なイベントであるかを物語っていた。


「緊張してきた……」
「コスチューム着たかったなー」
「見てる側だったけど、俺らもついにテレビに映るんだな……!」


 控え室に集まったA組の生徒たちは緊張を少しでも和らげようと、準備運動や世間話に興じていた。
 誰もが体育祭という大舞台が近づいていることに期待を隠せずにいる。

 生徒たちはこの日を迎えるために長い訓練を重ねてきた。
 厳しい体育の授業で体力と個性を鍛え、ヒーロー基礎学で戦術を磨き、瞬時の判断力を養った。
 今日、この体育祭で全てを発揮する覚悟を胸に秘めていた。


「皆、準備は出来てるか!? もうじき入場だ!」


 入場の時間が迫る中、クラス委員長の飯田が立ち上がって呼びかけた。
 彼の言葉に、クラスメイトたちは胸の高鳴りを覚えていた。

 しかし、その昂揚感を一瞬で凍りつかせる出来事が起こった。


「緑谷、お前には勝つぞ」


 突然、轟が緑谷に対して宣戦布告をした。
 普段から喧嘩を売っている爆豪とは異なり、冷静で感情を表に出さなかった轟が、はっきりと敵対心を露わにしている。
 客観的に見ても自分が上に立っているのだと示す姿は、誰もが予想外で衝撃を与えた。

 轟の挑発に応じるように、緑谷は「僕も本気で獲りに行く」と力強く宣言した。
 彼の目には揺るぎない決意が宿り、瞳が燃えるように輝いていた。
 慌てた切島は二人の間に割って入り、場を和らげようとする。
 だが、その試みは予想外の展開を見せた。


「千歳、お前もだ」
「……私?」


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