第1章 序章
夏の日差しが痛いほど突き刺さる。
じんわりと額に汗を滲ませながら、
俺は特別教室に向う。
廊下ですれ違う度、俺の名前を呼ばれ
挨拶される、俺はその一つ一つに
丁寧に返事を返す。
歩く速度を早めながら、時間を確認する。
すると、後ろから俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「お~い! 泊(トマリ)くーん!」
寝癖付きの髪にスクールバックを肩に
下げながら、ぎこちない走りで俺の所にくる。
「よ、五十鈴(イスズ)お前走っていいのか?」
「うーん...、まあ、無理するなよ程度に注意されただけだし、大丈夫!」
五十鈴は目をキラキラと輝かせながら
満面の笑みで笑いかける。
大丈夫なのか、それ。
本人は特に気にした様子は無いから
良いのだか。