第17章 足掻く者に蓋をする
ダットン嬢と二人は暫く考え込んでいる。アルは私にこんな状況でもスリスリしているし、皇子も同様。マイペースを極めている。
「あ、あのっ、どうかお友達になってくださいっ。よろしくお願いします!!」
「転生者か、理解した。」
「前世の話し聞きたい!!」
それぞれが言葉を発し、私たちは受け入れられたと安堵した。
「そうか・・・普通の令嬢じゃなかったから、クラウドは気に入ったのか。それなら理解出来る。」
「良かったな、クラウド。面白い相手が婚約者になって。」
「ちょっと何か腑に落ちないが、まぁいい。だが、キャサリンから話しを聞くのは私と同伴の時だけだ。キャサリンは私の婚約者なんだからな。」
和気藹々と話しが進んでいく。
「仲良くしようね、エリシア。」
「宜しく、エリシア。」
「うん、うん。ありがとう。」
三人で手を取り合って、喜びを分かち合う。しかし、直ぐに私の手はアルに引き戻される。
「もう十分だろ。」
「あ、そう言えば・・・ヤンデレキャラ。」
「皇子も同じ人種だよ?」
「えっ・・・それは大変。」
この世界にヤンデレと言う言葉はない。しかし、転生者同士だから伝わる。
私としては、同性の友人が出来て嬉しい。私たちの事はこれで解決した。でも、一つだけ・・・。そう、エリシアに恋慕していたゼフの存在。
あ、もう一つ。その婚約者だったソフィアには、誤解を解こうとしたけれど貴族としてのプライドが高かった様で無駄に終わった。その事には、エリシアは何も言わなかった。
彼女たちは同じクラスだ。そして、ゼフを含めソーエンやもう一人の皇子の従者であるルキノスもいる。女同士では分が悪いけれど、ソーエンたちが気を配ってくれることになった。
そして、ルキノスは今回の話し合いに参加していない。と言うのも、唯一のやや脳筋キャラらしく暫くはこのまま放置となったそうだ。ちょっと可哀想。
普段の生活に戻って、エリシアとの交流も増えた。クラスでの立ち位置は不安定だし、ゼフの視線は相変わらずらしい。そんなに気になるのなら、もっと早い段階で上手く解消すれば・・・と思ったけれど、家への支援が為の婚約だったことを思い出した。
因みに、エリシアの子爵家もソフィアの伯爵家には劣るものの、それなりに裕福な家柄だ。それでも、それなりにだけど。