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異世界転生したらゲームの悪役令嬢でした

第15章 正攻法


人間の思い込みって、純粋に凄いと思う。素直というか、騙されやすいというか。目の前の光景を見て、私は頭が痛く成った。

あの令嬢が、放課後にアルをデートに誘って来た。同じ時間を過ごせば、きっと仲良くなれると一体誰に吹き込まれた?甚だ迷惑なんだけど。

アルは見向きもしなかったけれど、令嬢はポジティブがグレードアップしていた。だって、デートに私を同伴させるって言うんだもの。

私もアルも反応しないまま、馬車乗り場へと向かう。そんな私たちの後を、付いて来る令嬢。令嬢は私たちに、背後から楽しそうに声を掛け続けている。ちょっと怖い。

令嬢の中では、既にお出掛けする事になっているのだろう。どんなお店に行こうかなんて、一人で楽しそうに話している。

ん?急にアルが立ち止まった。アレ?私・・・アルに壁ドンされてる?アルの顔が近い。アルの瞳に、私の顔が映っている。

あ・・・私、目を開けたまま、アルとキスしてる。

「フェリシアに乞う様な目を向けられると、ゾクゾクする。可愛い、凄く可愛い。もっと私を見ろ。その視界を私だけに向けろ。」

えっ?今のアル、何か火が点いた?確かに、怖いからアルに頼りたくなったのは本当だ。

「フェリシアを舐めたい。」
「えっ?な、舐め?」
「少しならいいだろ?最後まではしないから。」

えっと・・・新しい恐怖を感じたのだけど。

アルの顔が首筋に近付き、言葉通りに舐められた。アルのザラリとした舌が、間違いなく首筋に触れている。

「アル、こんな場所でそんな事はダメよ。」
「なら、馬車の中ならいい?フェリシアを舐め回したい。」

ヤ、ヤンデレって難しい。

「私なら、どんな場所でもクライン様に好きにして貰って構わないわ。」

令嬢よ・・・こんな時に何を言ってるの?私は構うのだけど。嫌とかそういうのではないよ。でもね、TPOってある程度は弁えた方がいいと思うの。

「じゃあ、馬車では私がアルを舐めるわ。」

ん?私・・・今何って言った?

「フェリシアが私を?そうだな。それも魅力的だ。フェリシアになら、私の全てを見せてもいい。」
「そ、それはもう少ししたらね。」
「分かった。その時が来れば、見せ合いをしよう。今から楽しみだ。」

否定しちゃダメだ。取り敢えず、賛同しておこう。未来の私、何かごめんっ!!

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