第13章 フラグってどれだけ立つもの?
「だったら、一ついいか?ローエン嬢が私のものになるのなら、一考してやってもいい。」
しかし、そこで態度を豹変させたのは、アルではなくルーエンだった。これには、イクスですら驚いていた。
「友好国として留学して来ている婚約者同士の仲を裂き、我が国との友好を失墜させるというなら、反逆罪として処罰の対象にするがその心づもりでいいんだな?」
「は、反逆罪・・・。」
「貴様は私を嫌っているのだろう?反逆の意思があるとして、早々にその目を摘み取るのも私の役目だからな。今までは見過ごして来たが、どうやら考えは変わらないらしい。だったら・・・この国から出て行くか?イクス、その旨を陛下に申告してくれ。」
イクスは恭しく頭を下げ、その場から出て行った。
それに慌てたのは、イアート本人だった。今までがスルーされて来たから、今回も言いたい放題出来ると思っていたのだろう。
「イアート嬢、キミも反逆者の一族となる。そのような者が、私の右腕となるイクスの伴侶には出来ない。」
子供の軽口。そう言われるかもしれないが、ギャラリーが多すぎた。人の口に戸は建てられない。直ぐにこの事は貴族の中に広がるだろう。
「お、大袈裟過ぎないか?ただ、ローエン嬢が欲しいと言っただけで。それに、友好国と言うなら自国同士の婚約より、お互いの国での婚約の方が更にっ!!?」
ルーエンはイアートの目の前に立ち、見下ろした。あぁ、この人も王族なんだなと感じた。
「ここは社交界の縮図。幾ら学園内に貴賤は問わないとはいえ、お前は遣り過ぎだ。折角だから、このまま消えろ。せいぜい、あっちでも頑張ってくれ。まぁ・・・私の想像通りなら、その高く伸び切った鼻をへし折られるだろうが。」
その日から三日後。
姉弟たちは、ある国に旅立って行った。
「ねぇ、アル。あの姉弟何処に行ったのか知ってる?」
「私たちが来年、行く国だ。」
「あぁ、そう。」
実力主義だと誉れ高い国だ。確かに、鼻をへし折られそうだな。そして、私の鼻は高くないが・・・生きていけるか心配。
その頃には、クラウドも国に戻っているだろう。出来れば、仲良くしたい。
「そう言えば、クラウドが帰国する時に合わせてエルマルタ嬢が留学する事になったそうだ。」
それを聞いて、安心した私。