第13章 フラグってどれだけ立つもの?
えっと・・・アルがアルらしい。今の私自身が、何を言っているのかさえ理解出来ていない。つまり、とんでもなくヤンデレ感を放出している。周りからはドン引きされるくらいに。
王子やイクスは、モーリスたちからの手紙でそれなりに理解は示してくれていたが・・・若干、そう若干私に同情的な眼差しを向けている。そして、何故か王子の婚約者である公爵家の令嬢のネスタリア=モノフロンは羨ましそうな眼を向けている。
私とは懇意にしてくれて、ネスタリアのご学友たちを紹介してくれた。次期、王妃になるだけあって美人である。イアートはひょっとしたら、美人の婚約者がいる事に対しても嫉妬しているのではないかと思っている。
さて、この国での勇者の事なのだけど。
チェリーブロンズ色の髪と、糖分たっぷりの蜂蜜みたいな瞳をした典型的に可愛いと言われる容姿の令嬢がアルに取り入ろうとしている。
こんなに可愛い見た目なのに、アルはアルのままだった。まぁ、もし心変わりされたら泣くに泣けないのだけど。
編入してから数日。勇者は勇者のままで、でも、アルもアルのまま。そして、イアートもガキ大将のままで。イアートの姉も変わり映えしない日々が続いている。
皆がマイペースに逞しい。ただ、一つ。王子とネスタリアの関係が少し変わった気がする。私はアルの傍でアルに触れられながら、直ぐ目の前にいる王子たちの状況を見ていた。
王子から乞うての婚約だった様で、元々、素質はあったのやもしれない。そして、イクスは他の仲間たちと肩身の狭い思いをしている。少し申し訳ない気がしないでもない。
そんな濃密な日々を過ごしているある日のこと、先生に呼び出されアルは教室から出て行った。アルが戻って来るのを待って、一緒に帰るまでネスタリアと談笑していた。
王子は王族だけあって、一年生から生徒会に所属しているので名残惜しそうに生徒会室に行ってしまった。
「もうね・・・ルーエン様が凄く甘いの。最近、凄く仲良くなれた気がするわ。今日のルーエン様も素敵だったけれど、明日も素敵なのでしょうね。」
「仲が深まって良かったですね。」
「これもフェリシア様のおかげよ?本当に感謝しているわ。今日もね、ルーエン様ったら・・・」
惚気なのか?惚気たいのだろうな。うん、うん。ドンと来いである。だって、私だって惚気たい。