第11章 剣術大会
剣術の授業から、予選は始まっていた。一クラス二人になるまでの勝ち抜き戦だ。そして、Sクラスで勝ち残ったのは、アルとモーリスだった。
どういう訳か、勝つ気でいた王子はアルに勝負を挑んで、完膚なきまでに遣り込められたらしい。王子も、まさか自分が負けると思ってもみなかったのだろう。勝負の後、悔しそうにしていたそうだ。
他クラスは、想像通りにカラフル頭が残っていった。その中でも、赤髪の攻略者が優勝候補だと言っていた。ただ、セーランから聞いた情報では、最近はヒロインと懇意にしていて剣術が疎かになっているらしい。
腕っぷしのいいオレンジ頭も残っているが、名誉挽回とばかりに訓練に勤しんでいるとも教えてくれた。セーランの情報網恐るべし。
そう言えば、ずっと気になっていた事がある。どんな理由があって、従兄弟同士である王子と仲違いしているのだろう。
それとなくアルに聞いてみれば、簡単に教えてくれた。
「今から八年前の事だ。先代の国王が体調を崩された時、モーリスとセーランは度々とお見舞いに行っていたそうだ。それに反して、人付き合いが苦手な王子は気難しい先代の国王とは疎遠だった。国王とは言え、慕ってくれる孫たちが可愛かったのか、その後も目を掛けていた。その事を快く思わなかった王子が、二人に言ったそうだ。私が未来の国王になるのだから、私を敬い私に平伏せとな。それに反発してから、今に至ると聞いた。」
子供が言ったこと・・・では、終わらかったのね。そりゃあ、誰でも怒るわ。でも、ゲームの世界でもそんな事があったっけ?
「誰よりも、セーランの母君が大層腹を立てて、国王を遣り込めたとかも聞いている。国王はセーランの母君を、特に可愛がっていたからな。」
「何か罰とかあったの?」
「モーリスとセーランが王子に不敬を働いても、罪には問わないとなっているそうだ。」
これはまた、大いなるお墨付きだな。王子も親以前に国王としてそう言われたのなら何も言えないだろう。
「それに、二人は人付き合いがいい事で隣国との付き合いもやっている。セーランが遊学に行っていたのもそう。その前には、モーリスが一年行っていたそうだ。」
ねぇ・・・王子って、今のままでは王族として致命的じゃない?そう思う私って、間違ってないよね?